スーパーグローバル学部増田准教授

いかれた大学教員の思いつき

医学部とはかくも恐ろしきかな

話題に事欠かない医学部。一般のイメージとはずいぶんと異なるのではないかと思うが、医学部・大学病院というところは恐ろしいところなのである。西で火の手が上がっているのが岡山大学の医学部なら、東の火柱は群馬大学の医学部附属病院である。

 

もともとは読売新聞のスクープで注目を集めたこの事件。

yomidr.yomiuri.co.jp

 

医学部の附属病院というところは、医療技術はさておき、政治的には極めて恐ろしいところである。NHKによると、日本外科学会に委託されていた調査報告がまとめられ、群馬大学医学部附属病院の旧第一外科と旧第二外科による、手術症例数争いの中で患者の命を無視し続けたという、恐るべき実態が明らかにされている。

www3.nhk.or.jp

 

外科学会の報告に関しては今のところNHKだけが取り上げているようだが、群馬大学医学部附属病院では、旧第二外科で肝臓の腹腔鏡手術の死亡率が全国平均の10倍、第一外科でも肝臓関連の手術の死亡率が全国平均の4倍に上るという。大学病院への期待値から考えると、なかなか信じがたい成績である。さすがグンマーとでも表現するほかない状況である。

 

この第一外科と第二外科では手術の症例数を競っていたということで、医局のプライドをかけた闘いが繰り広げられていたそうである。普通の感覚の人間にはフィクションの中にしか存在しないとしか思えないようなお話が実際に起こりうるのが医局であるが、たとえ学会の認定医がいなくてもライバルの症例数を上乗せするようなことはせずに自分のところで手術を強行するし、手術に際して患者に危機的な事態が発生してもライバルに助けを求めることなどしないのである。さすが医学部としか言いようがないが、メンツとプライドが患者の命より優先するという、いかにも医学部らしい世界である。

 

今思えば、岡山大学の一件も、医局におけるリーダーシップやガバナンス手法を大学運営全体に持ち込もうとした医学部関係者の暴走が表面化したということに過ぎないのかもしれない。そのような試みに対して、文部科学省が特筆すべき改革の進捗状況にあるなどと言いだしてしまうと、われわれのような一般人としては大いなる不安を感じずにはいられない。

 

ともあれ、医学部というのは想像を絶するまことに恐ろしいところであるということくらいは忘れないようにしたいものである。