スーパーグローバル学部増田准教授

いかれた大学教員の思いつき

大学ランキングのはなし(追記)

昨日、BBCにどこの国の学生がもっとも賢いのか?というOECDのテスト結果に基づく記事が出ていた。この記事で指摘されていることは、わが国の大学改革の方向性や、大学ランキング騒動を考える上でも大いに示唆に富んでいる。

www.bbc.com

These figures, based on test results rather than reputation, show a very different set of nationalities from the usual suspects.

The OECD's top 10 highest performing graduates

  1. Japan
  2. Finland
  3. Netherlands
  4. Australia
  5. Norway
  6. Belgium
  7. New Zealand
  8. England
  9. United States
  10. Czech Republic

None of the countries in the top places make much of an appearance in conventional university rankings.

 

レピュテーションではなく、テストの成績にもとづいて示されたリストには、(大学ランキングなどから)想像されるものとは随分と異なる国々が挙げられている。

OECDによるテストで大学の卒業生が優秀な成績であった国トップ10

  1. 日本
  2. フィンランド
  3. オランダ
  4. オーストラリア
  5. ノルウェー
  6. ベルギー
  7. ニュージーランド
  8. イングランド
  9. アメリカ
  10. チェコ

上位には、よくある大学ランキングではほとんど目にすることがない国々が並んでいる。

先の革新的大学ランキングでは日本の大学の研究が高いレベルで維持されていることが明らかになっているが、教育に関しても、エビデンスにもとづいて評価すれば、日本の大学は十分に高いレベルで機能していることが分かる。

このような結果に対して、記事内で取り上げられているQSの責任者のコメントがまたたいへん興味深い。

While the OECD has compared standards across national higher education systems, the university rankings are focused on an elite group of individual universities.

OECDは国全体の高等教育の仕組みそのものを比較しているが、大学ランキングはエリート層の個々の大学に着目している。

確かに、エリート社会というのはレピュテーション、すなわちコネが何よりものを言う世界である。その意味において、QSやTHEのランキングが客観的な指標よりもレピュテーションに大きく左右されるものであるというのは、極めて妥当なものだと言えるだろう。

しかし、そのようなランキングでの評価を基準にして、わが国の高等教育の未来を考えることは果たして妥当なのか?ことあるごとに「エビデンス」にもとづく施策を求める教育行政にあっては、もっと真剣に考えるべきであろう。