高大接続改革の本丸は大学入試センターの民営化
すでに高大接続改革の議論も方向性は概ね定まり、現行の大学入試センター試験に代わる新テストの具体的な実施に向けて、その運用に関する情報が少しずつ明らかになるにつれ、
そんなことなら現行のセンター試験のままで良いのではないか?という、おかしな状況になりつつある。
結局のところ、実施体制はセンター試験を踏襲し、記述式にかかる科目数がさらに増え、その上記述式の採点も大学に投げると言う状況になるのであれば、もうセンター試験をやっている方がナンボかマシなのではないか?というのが少なからぬ大学教員に共通する想いであろう。
というわけで、先日ツイートしたこれである。
大学関係者は、他のどんな組織よりも大学入試センターこそ民営化すべきであると、河野太郎議員@konotarogomameに一致団結して進言すべき。共通テストは民間でやれば済む話で、独立行政法人が大学の教員を使って実施するなどと言うのは最大級のムダ。
— 増田の准教授 (@ProfMasuda) 2016年11月4日
どなたかが強く主張されているようなことを寡聞にして聞かないのであるが、大学入試センターそのものを民営化すれば、新テストに関する問題は、ほとんどすべてが解決してしまうだろう。なぜそのような話にならないのであろうか?
大学入試センターの民営化を、高大接続改革のみならず、行政改革の目玉にもしていただきたい。
すでに入試でも英語については民間の試験の活用が進められている。なぜ他の科目でもそうしようという話にならないのか?そもそも大学入試センターが独立行政法人である必要があるのか?おそらく、数ある独立行政法人のなかでもトップクラスの無駄を垂れ流している組織であろう。これから少子化が進行すれば、ますます無駄は大きくなることだろう。
現在の各予備校の模試の実施状況から考えて、民間にある程度の条件を提示して入札を行えば、記述式であれ何であれ、毎年複数回の実施も可能であろう。
二次試験は各大学が個別に実施するという前提で、民間で年に複数回実施できるのであれば、トイレ休憩も与えずに受験生を試験室に3時間も監禁する非常識な時間割を組むようなこともなくなり、監督業務に明らかに不向きな大学教員を無理やり貼り付けてリスク要因を増やすような判断はしないであろうし、それでも避けられない些細な人為的ミスを全国ニュースで取り上げるような馬鹿げた真似もしなくてよくなり、不良品率を尋常ならざる低さに抑えた機械をわざわざ高いコストをかけて作ることに血眼になることもなくなるだろう。たったこれだけでも共通テストをめぐる状況はずいぶんと改善する。
結局のところ、現行のセンター試験であれ、新テストであれ、あらゆる問題はすべて、独立行政法人であるところの大学入試センターが実施することに起因している。
大学の関係者には、小泉改革以来の「民間にできることは民間に」というスローガンに対して脊髄反射的に否定的な態度を示してしまう方も少なくないとは思う。しかし、大学入試センターを民営化すべきだと声を上げたからといって、必ずしもあなたが全面的に小泉改革に賛同しているということにはならないし、ネオリベのレッテルを貼られることもないだろう。心配は不要である。
新テストをどのように実施するかなどということは問題の本質ではない。今こそ「大学入試センターを民営化せよ」と声を上げるべき時なのである。