スーパーグローバル学部増田准教授

理工系からこのご時世によりによって人社系に文転した大学教員の日記

相応の待遇

今回の話題は、国立大学に所属する教員の待遇に関するものであり、その意味でいつにも増して完全なるポジショントークである。そのことを事前にお知らせしておく。

先日、一橋大学から香港科技大学に移籍する方が話題となった。年収は倍増。ファカルティハウスなど、生活面での待遇も良いようだ。

それに対して、日本では頭脳流出の危惧とともに、特に国立大学の教員の年収について、いろいろと議論が交わされている。

個人的には、今の年収は特に少ないとは思っていない。昔の国立大学に比較すれば、担当コマ数や雑務が大幅に増えたとはいえ、働き方も真っ黒な民間企業に比べればまだまだ緩やかである。総合的に考えて、多いとも言わないし、もっともらえるならありがたくいただきたいとは思うが、少なくて不満だということはない。

現在の境遇が不満だと思う方はどんどん海外に出れば良いと思う。外に出て競争するだけの能力もないのに給料が少なくて不満だという残念な方も少なくないと思うが、そのような方々には早く大学を辞めていただくことが後進のためである。

むしろ、現状に対する不満があるとすれば、給与以外の扱いに関する部分にある。

 

現状、その最たるものが出張である。

 

一般に、出張時の宿泊費については一律に金額が決められている。実費精算であれば良いかもしれないが、実費精算ではない大学の方が多数なのではないかと思われる。定額支給であれば、安い宿に泊まれば小遣いが浮いて良いと考える人もいるかもしれないが、現実的には東京や大阪のような大都市や、あるいは京都のような観光都市では、ビジネスホテルでさえ規定の宿泊費で賄うことができなくなっている。もはやカプセルホテルかゲストハウスかといった状況であり、大学の教員の扱いとしてそれで良いのか?とは思う。結局のところ、差額分は自腹で支出してそれなりの宿泊施設に泊まるということになるわけだが、少なくとも外部資金に関しては、基本的に実費精算として、現状の規定の1.5倍から都市によっては2倍程度までは支出できるようにしてもらいたい。

何もスイートルームに宿泊させろと要求しているわけではないし、予算の残額をにらみながら妥当と思われる選択をするに過ぎない。

 

また、研究発表等で海外に出張する場合にはより深刻で、基本的にはエコノミークラスにしか乗ることができない大学も多い。これもまた先日のニュースでみなさん良く理解されたとは思うが、エコノミークラスの乗客というのは、航空会社からはそれほど人間扱いされてはいないのが実態である。エコノミーに乗るくらいならLCCを選べと言わんばかりのサービスになって来ている。昨今は家族全員でビジネスクラスという姿も普通に見られるようになっており、ビジネスクラスとエコノミークラスの座席数を比較しても、ビジネスクラス渡航するというのは、十数年くらい前までのように特別なことではなくなった。LLCでない一般のエアラインとしては、エコノミークラスは無くて良いというのが正直なところであろう。

そのような状況をふまえて、大学の研究者が業務として研究成果の発表に行く際には、ビジネスクラスを選択することを共通ルールとして許容してもらいたいと思う。もちろん、予算には限りがあるわけで、自らの判断でエコノミーに乗るのはもちろんそれで構わない。これもホテルと同様、ファーストクラスに乗せろと要求しているのではなく、選択肢を持てるようにしてもらいたいということである。また、飛行機に関してはホテルとは異なり、差額を自腹を出してビジネスクラスで行くということが難しかったりするので、なおさらである。

 

また、こうした宿泊費や航空券のクラスの制約というのは、われわれ当事者のポジショントークという側面もさることながら、日本の大学全体の評価にも関わる問題でもあったりする。

恐ろしいことに、こうした規定は、海外からゲストを呼ぶ場合にも同じ条件が課せられたりする。従って、海外からゲストを招聘しようにも、下手をすると、飛行機はエコノミークラスで、宿泊先はアパホテル東横インクラスということにもなりかねない。悪い冗談のようにしか聞こえないが、現実である。そのような条件で一体どのようなゲストがわざわざ来てくれるというのだろうか。当然、そのような扱いでお呼びできるわけもないことから、実際にはできる手立てを駆使して失礼のないようなかたちでお招きするのだが、最初から正規の手続きで相応の待遇を提供できる方が良いに決まっている。日本の大学は、世界と競走する舞台に立とうにも、すでにスタートラインがはるか後方にある。

 

もちろん、雑務が減ることも重要なのだが、自分自身に関していえば、このあたりの運用が改善されると、不満感はかなり軽減されると思う。給料は上がらなくても構わないが、このあたりの運用の改善は望みたい。