スーパーグローバル学部増田准教授

いかれた大学教員の思いつき

研究費を誰にどのように支給するべきか

ここ数日、職業研究者としての能力・資質と競争的研究資金の獲得、機関が支給する研究費との関係について、考えていたことを整理してみたい。

大学の目指す方向性の違いの明確化だけでなく、大学教員もまた研究中心の人、教育中心の人、社会貢献中心の人、学内行政中心の人と、役割が明確になっていくのはやむを得ないことだろう。

 ToruOga( o ̄▽)o<※ on Twitter: "やはり研究トラックと教育トラック、それからURA業務を統括するような管理部門のトラックは分けたほうが良いと思うのだけど。"

そもそも人には向き不向きというものがある。やりたいことをやるなとは言わないが、組織としてはより適性の高い分野で多くの成果を出してもらった方が良い。実際、東京近辺には自分で重点を置くべきところを決めてそれによって評価するという国立大学法人もあるようだ。

nasastar on Twitter: "@toruoga0916 ちなみに教育、運営、研究などのエフォートの配分と業績評価の重み付けが連動していたりもします。なので僕のような働き方だと研究の比重低めで、運営へのコミットをより評価してもらうような形も可。職位で大枠は決まってるが、上長との相談でどこを重くするのかも弄れるのです"

正しい方向性だと思う。

科研費については、来年度からは年齢ではなく採用からの年数に応じて若手に申請できるようになるという話もある。そのような条件であればなおさら、科研の若手を一度も獲れないまま、若手の申請資格を失い、その後も基盤Cさえ獲れないようであれば、やはり職業研究者としての資質・能力に疑問符がつくことは避けられないだろう。

当然のことながら、科研を獲るというのは研究代表者として採択されるという意味である。研究者としての資質や能力を判断する上では、分担者では意味がない。

もちろん、研究者としての資質・能力に疑問符がつくからといって、それで研究をするなというのは行き過ぎだとは思うが、無条件支給の研究費は職階に応じて順次削減して良いだろう。外部資金を獲れない教授の研究費は当然ゼロで良い。

文系でいわゆる学術論文的な業績がないのに教授になるというような方々であれば、おそらく一定の知名度があって講演や執筆で対価を得られているということであろうし、それはそれで良いだろう。

所属する研究者に対して、機関が配分する研究費のあり方としては、まずは任期付やテニュアトラックの若手に対しては無条件で一定額の支給を保証すべきである。研究に関してもスタートアップ期間であり、競争的資金を獲得できるだけの研究業績を積み上げられるようサポートすることは必要だ。

それ以外の研究者に対しては、無条件で支給する研究費は基本的にはゼロであっても構わない。外部の競争的研究資金の獲得具合に応じて配分すれば公平だろう。学内で申請・審査をすることなく、学外の第三者のピアレビューの結果に従って配分するのは組織の手間も研究者の手間も削減できるので合理的である。

そもそも、兼業収入ではなく、外部資金として研究費等を獲得した研究者は、間接経費として、それなりの金額を所属機関に対してもたらしている。中には間接経費の一部を研究者に還元している機関もあるが、研究費の配分において優遇されるのは当然である。

科研に関しては、それぞれ自らの意思で選んだ分野でその研究の価値をピアレビューされる。多くの研究助成も、対象となる分野はかなり絞り込まれている。そのような専門的な分野においてさえ長年にわたって評価されないのであれば、それは自らの研究者としての資質・能力をよく考えるべきであるし、評価される分野を研究以外に見出す方がよい。もちろん、趣味で研究を継続することは誰も否定などしていない。いつまでも研究者面で研究費を要求するのはやめてもらいたいというだけの話なのである。あなたが無駄にする研究費でより多くの成果を生み出せる若手はいくらでもいるのだ。