スーパーグローバル学部増田准教授

いかれた大学教員の思いつき

2016-01-01から1年間の記事一覧

指定国立大学の公募

以前から話題となっていた指定国立大学の公募を文部科学省が開始した。 「大学全体としてすでに国内トップレベルの研究力、国際協働、社会連携実績」があることが応募の前提条件となっており、これら三つの領域に設定されているいくつかの要件のうち、少なく…

大学のグローバル化

スーパーグローバル詐欺であれなんであれ、近年、大学の目標としてグローバル化やそれに対応した人材の育成が掲げられることが多くなった。 世界を舞台に活躍できる人材を育成することの必要性については異論はないのだが、今現在進められようとしている大学…

広大のアレのその後

一世を風靡したにも関わらず、研究費3万円にすっかり持っていかれた感のある、「広大のアレ」。すなわち教員のさまざまな活動や業績などを徹底的にポイント化して評価するという、「徹底した大学のモニタリング」である。 その後あまり話題になることもなく…

研究費年間3万円の衝撃のその後

日本海側の例の大学、というのはつまるところ新潟大学なのであるが、依然として学内は色々とゴタゴタが続きつつも、新課程は廃止、創生学部の新設と、着々と執行部の進める改革は進行しているようである。 研究費が3万円になった!というお話も、文部科学省…

誰がアクティブラーニングを教えるのか

次期学習指導要領の目玉は、アクティブラーニングの導入ということになっている。指導法としてのアクティブラーニングの導入そのものは悪いものでは無いと考えているが、ただ、それを実施できる教師の配置がともなうのであれば、の話である。 今現場にいる教…

嘆かわしかった人々

ゴア以来、総得票数で勝りながら選挙人獲得人数では勝てなかったヒラリー。 間接選挙で選挙人数の割り当ての問題?といった話も見かけたが、ほとんどの州で総取り方式を取っている以上、接戦になればなるほど死に票も多く、こうした逆転現象は今後もあり得る…

高大接続改革の本丸は大学入試センターの民営化

すでに高大接続改革の議論も方向性は概ね定まり、現行の大学入試センター試験に代わる新テストの具体的な実施に向けて、その運用に関する情報が少しずつ明らかになるにつれ、 そんなことなら現行のセンター試験のままで良いのではないか?という、おかしな状…

学習指導要領改訂の矢先に教員削減を要求する素敵な縦割行政

財務省は文部科学省に対して、教員の削減を要求すると言うニュースが流れた。 財務省 公立小中学校の教職員 4万9000人削減案 | NHKニュース 少子化の進行により、今後10年間で公立小中学校教員を49,000人削減できるはずだと言う主張である。 日本の公教…

罫線との醜い闘い

科研費申請のための書式の罫線に苦労している人は多いようで、河野太郎議員の以下のツイートに歓喜した大学関係者は多数いたと思われる。現に私もRTした。 科研費の申請書の罫線は次回申請から廃止することに決まりました。 — 河野太郎 (@konotarogomame) 20…

科研費と研究者

今年のノーベル賞ウィークは初日から医学生理学賞を大隅先生が受賞されたことで、大隈先生による「私と科研費」の記事が話題である。 私と科研費 | 科学研究費助成事業|日本学術振興会 どこの国立大学も、大学から支給される研究費については、いつゼロにな…

大学ランキングのはなし(追記)

昨日、BBCにどこの国の学生がもっとも賢いのか?というOECDのテスト結果に基づく記事が出ていた。この記事で指摘されていることは、わが国の大学改革の方向性や、大学ランキング騒動を考える上でも大いに示唆に富んでいる。 www.bbc.com These figures, base…

大学ランキングのはなし(国際)

そもそもスーパーグローバル詐欺の発端はと言えば、運営費交付金の枠が削減されていくことを見据えた予算確保のため、国立大学法人の改革プランの中で、10年間で世界の大学ランキングトップ100位以内に10校以上を送り込むという、無謀とも言える目標を掲げた…

大学ランキングのはなし(国内)

今回と次回はランキングの話題。 昨今一部の世間を賑わせている大学ランキングは、世界各国の大学をランク付けするものだが、国内でもこれまで経済系の雑誌や、進学情報系メディアを中心に「〇〇な大学ランキング」なる特集が度々組まれてきたことにはそれほ…

ポスドクの憂鬱は終わらない

どの業界でも団塊の世代の大量退職によって、若い世代の雇用環境の改善が期待されるという話があったが、大学界隈ももちろん例外ではない。団塊世代が退職すれば多くのポスドクや任期付きポストに甘んじている若手にもテニュアへの道がひらけるのではないか…

オープンキャンパスへの意気込み

先月、女子高生に土下座で「お願い、1回だけでいいから」という、誤読を誘うヤル気満々コピーのゲスい広告で名古屋近辺の大学が全国にその名を轟かせたところであるが、高校野球も盛り上がりを見せる夏休みは、国公立大学を含め、多くの大学のオープンキャン…

本当の敵は誰か?

国立大学の教員たちが、優秀であればあるほど雑務ー特に個人もしくは組織として応募する各種競争的資金の申請書作成業務に追われ、教育・研究に携わる時間とかけられる経費が減り、最終的に学生の教育にもしわ寄せがいく、といった昨今の事態に対して、文部…

勝ち負けで教育を語る人々

教育コンサルタントを自称する方であれ、受験生であれ、はたまた大学に通う学生であれ、あるいは受験期の子息令嬢を抱える保護者であれ、世の中には教育を勝ち負けでしか考えられない人種というものが存在する。 diamond.jp たとえば上記の記事のシリーズな…

国立大学の運営費交付金削減と経営危機

先の研究費ゼロ時代の記事は、運営費交付金の削減との関わりで書いたところであるが、運営費交付金の削減によって、多くの国立大学は一部の私立大学以上に経営的に厳しい状況に置かれているという事実はもっと知られて良いだろう。 たとえば、もっとも多額の…

研究費ゼロ円時代

国立大学においては、すでに研究費が限りなくゼロに近いところも出てきているが、いまのところ一定の研究費が確保されている大学に勤務している教員のみなさまも、もちろんわたし自身も含め、明日はわが身である。 国立大学の運営費交付金が毎年1%ずつ減額さ…

奴隷化する学生たち

近年、と言ってもここ数年だろうか。賃金ゼロもしくは不当な対価で学生の労働力を搾取しようという動きは、さまざまな形で企業から繰り出されてきている。 先のインターンシップ地獄で述べたように、インターンシップと称して、正当な対価を支払うことなく学…

左派の憂鬱と多数派幻想

参議院選挙が終わった。 旧来型の左派知識人も未だ多数生息している大学界隈からは、当然のごとく嘆きの声が上がっている。 勝てないのは翼賛メディアのせいだとおっしゃる皆様には残念な結果なのかも知れないが、野党共闘は大善戦したと言うべきだろう。激…

インターンシップ地獄

近頃は就業力であるとか社会人基礎力であるとか、大学生が求められる力のインフレーションが加速しており、やれプロジェクトだ、やれインターシップだなんだと、OTJ的なプログラムが盛んに推奨されている。 もちろんその背景には、ほとんどの卒業生が正規の…

非常勤講師を待ち受ける未来

すでに時期を逃した感はあるが、大阪市立大学における非常勤講師の契約を巡り、非常勤講師の外注化を目指しているという計画が明らかになって、以後、TwitterのTLなどにも非常勤講師の待遇に関する発言がよく流れて来ていたので、少し書いておこうと思ってい…

大学ランキング狂想曲2016年編

THEランキングで東大がアジア1位から7位へと転落して、いつもの界隈からは日本の大学がランキングを落とすのは文部科学省の愚策のせいだという大合唱である。 それはそれで見物していれば良いのではあるが、しかし今年のランキングを見てみると、ややこれま…

椅子取りゲームに勝つ方法(教員編)

大学に学生として入ることは容易になった。その反面、教員として大学に入ることはずいぶん難しくなった。 大学に所属する研究者のポストというのは、それを希望する人数に比べると圧倒的に少なく、当然のことながら大学教員を目指した「就活」においても、熾…

就活に失敗したと泣き叫ぶエゴ

6月1日に解禁となったはずの企業による新卒採用の選考活動。実態としては多くの著名な企業はすでに選考も終了しており、その時点で実質的に内定が解禁される事態となった。 例年このタイミングで就活に失敗したという、当人にとっては深刻であるが、客観的に…

管理屋より猛獣使いを

ソニー退潮の要因を、上に立つリーダーが数字による管理ばかり重視する経営姿勢に見出す、技術畑出身で副社長まで務めた大曽根氏のインタビュー。彼の発言は昨今すっかり管理屋が跋扈する業界になりつつある国立大学法人ならびに文部科学省の全関係者が一読…

残念な大学教員

出来レースではない公募案件も増えてきた昨今では、比較的少なくなってきたようにも思うが、それでもやはり教育に携わる資質に疑問符がつくような大学教員というのは存在している。 なにより学生をバカアホ呼ばわりする教員というのは、救いようがなく、一刻…

これで大学と言えるのかと言われて

一昨日あたりから、初年次教育の観点から、大学の大衆化の現実について論じた記事が話題となっている。想像のはるか上を行く大学「大衆化」のインパクト これで大学生と呼べるのか?「初年次教育」という憂鬱 | JBpress(日本ビジネスプレス)はてなブックマー…

地域志向の功罪

地(知)の拠点(大学COC)事業の募集や、新課程の廃止にともなう学部・学科再編等により、地域を志向した学びを実践する学部学科が雨後の筍状態である。地方の国公立大学の生きる道として、方向性そのものは間違いではないが、問題はアクティブラーニングだ…