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スーパーグローバル学部増田准教授

理工系からこのご時世によりによって人社系に文転した大学教員の日記

クォーター制元年

教育 大学
スーパーグローバル大学創成支援事業補助金の対価は、大学のガバナンス改革とクォーター制の導入を柱とする教育改革である。
ガバナンス改革に関しては、学長によるリーダーシップが強調され、これまでのさまざまな部局の教授会がそれぞれ好きなことを言って何も決まらないという状況を打破しようという方向性が示された。
結果、学部長の教授でさえ学長擁する医学部にたてつけばいとも簡単に解雇され得ることが岡山大学で明らかになるなど、目覚ましい成果を上げている。

一方、教育面での改革の目玉はクォーター制である。これまで高知工科大学など一部の大学を除き、ほとんどの大学では一年を前期と後期に分けるセメスター制で授業が行われていた。
これを一年間を四つの学期に分けようというものである。
もともとクォーター制が多い海外の大学に合わせて、留学などしやすいようにしようというのが本来の意図なのであるが、実態としてはそれほどうまい話ではなくなっている。

もともとトップダウンでなければこのようなドラスティックな改革は生まれないからこそのスーパーグローバル大学創成支援事業補助金である。図体のでかい国立大学で、クォーター制への移行はできるだけ省力化しなければ実現できるはずも無く、その結果、理想的な時間割とはずいぶんとかけ離れたものになっている。

アメリカの大学などは秋、春、冬、夏と四学期のうち、夏学期はサマープログラムなど、特別な学習プログラムに当てられ、一般の授業はほとんど実施されず、これが多くの学生にとっては夏休みとなる。
他方、我らがクォーター制の多くは、前期後期をそれぞれ前後に分割する形で導入されることだろう。その間に夏休みや春休みがおかれるので、一年間がおおむね六分割される。
巨大な組織で時間割を破綻させずに短期間でクォーター制導入を実現するには、ある程度事務処理を効率化して機械的に移行せざるをえない。現実問題、前後期を二分割して、現行の時間割をベースに科目を二つの学期に割り振るというのは多くの大規模国立大学において妥当な手順であるだろう。
その結果、これまでのセメスター制に比較して、特に学習効果が高まるとも、留学するのに有利であるとも思えないようなクォーター制が出来上がる。

理想的には、授業科目の内容に応じて、週1回2コマ続きの科目と、週2回1コマずつの科目を適切に組み合わせるような時間割を組むべきなのである。しかしながら、そのような時間割の組み替えを全学部で実施しつつ、時間割に破綻をきたさないようなことは、短期間での移行を前提とする以上は不可能である。
また、第二クォーターをサマープログラムの留学に使うというケースは増えるかもしれないが、セメスター制であった頃の筆者自身の経験からして、特に留学に不利であったとも思わない。そもそもサマープログラムへの留学を見据えて第二クォーターの授業の割り当てを減らすような手当がされるわけでも無く、留学期間中に習得できなかった科目を取り返すための負担感はセメスター制とまったく同じであって、留学に際して背中を押してくれることは特にない。
まして、一部にセメスター制の科目も残るとなればなおさらである。

ともあれ、このクォーター制、新入生だけでなく在学生も含めて一括導入されたことから、昨年度までセメスター制で授業を受けていた在学生の評判はすこぶる悪い。
昨今の学生たちは、正社員並みにアルバイト先でシフトを組まれているものも多く、クォーター制ではより短い期間でしか予定をフィックスできないこともその一因かもしれない。

学生たちにとっては、壮大な実験のモルモットにされている感は強く、もちろん教員にとってもそのような感覚を否定できないのではあるが、大学側としては導入して終わりというのではなく、継続的な時間割改善の努力が必須である。